1999.11



〜 在日米軍 YOKOTA Air Base Report 〜

国防問題の基本的な部分は、分かっているような「つもり」でいた。頭の中では・・

しかし、どうも勘違いしていたことが多かったようだ。というのも、たまたま’99.10月に横田基地を訪れる機会があり、見たもの聞いたものが勝手に思いこんでいたイメージと違ったのであった。「なんかちがう・・」、つまり不勉強だったって訳である。ほとんどこの手の軍備ものに興味の無かった私だが、「国防って何だろう」、特に「在日米軍って何だろう」とガラにもなく、それから考えこんでしまった。そこで頭の整理がてらレポートにしてみた。おヒマならおつきあいを。


撮影機材:FujiFilm FinePix-2700 撮影:kinsen.com



日本にいるような気がしなかった。

基地の中は当然の「治外法権」ではあるが、もっと感覚的なものである。

東アジアの温帯モンスーン気候の中にありながら、風景が違う。文化が違う。町並みが変わっただけなのに、大げさだがアメリカ東海岸に居るように感じた。人間の感覚なんていい加減と自嘲をしつつ、案外正しい感覚なのかもしれない、と思った。そこには見事なまでに日本がないのだから。

基地に行ったとき、もう少し「日本」というものがそこに感じられればこんなリポートは書いてないと思う。米軍が日本の一部を占領し、日本の税金「思いやり予算」に支えられ、極端な言い方だが・・植民地であるかのようにそこに居座っている、とまでに私は感じていたようだ。

【道標も、あちら風】
基地総面積 708万平方メートル
(東京ドーム×153個)
滑走路 全長3353m 幅61m
基地人口 11,300人  【内訳】
軍人 3,700
家族 4,600
米民間人 800
日本人
従業員
2,200

【ハロウィン】

【ハロウィン2】

広いだけあって、たくさんの人が居る。1万人以上。軍人らが家族も連れてきているのだ。上記写真は基地に住む子供たち。いわゆる「おもいやり予算」と呼ばれるもので支えらている彼らの住居建設費、厚生施設費、日本人従業員の人件費は、私たち日本人が税金でまかなっているのだ。そこまでして安全保障が必要なのかと、ふと思ってしまった。ま、突然ミサイル打ち込んでくるような国が近くにあるのだから、みかじめ料という人もいるが・・・。

と、いうところで「思いやり予算」等、訳の分からない用語をネットサーフィンすることにした。この手で使えるリンク集を下記に紹介。うろちょろしてみると結構勉強になった。みなさんも、ちょっと如何?


追跡!在日米軍
http://www.rimpeace.or.jp
全国の市議会議員5人で運営。
独自ドメインでかなり本格的サイト。
行って損はない。なかなか勉強になる。
結構有名なページらしい。
在日米軍で働く日本人の意見も掲載。
(これがなかなこもしろい↓)
http://www.rimpeace.or.jp/jrp/jugyoin/okolett/okilet.html
横田基地レポート
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~h-ike-y/yokota.top.htm
基地反対の立場での情報各種。
思いやり予算、騒音の現状等。
基地のすぐ横に住んでいる気持で。
横田基地撤去と基地被害をなくす
  共同行動連絡センター
http://www.ne.jp/asahi/santama/roren/yokota
横田基地
http://www.yokota.af.mil/
オフィシャルサイト。英語である。
なぜか日本語は見あたらない。
つまり日本人への配慮はない。
米人赴任者向け?作りはイマイチ。
(写真集最低)

沖縄基地問題ヘリポート移設関連リンク
http://www.jinbun.co.jp/heliport/link.html
沖縄県名護市・宮城康博さん制作。
沖縄から米軍が見えてくる。
東アジア軍事・安保関連のリンク
http://kaleido.smn.co.jp/2010/anpo/link/easia.html
民主党2010プロジェクトの中のもの
結構幅広くまとめてある。
「常時駐留なき安保」という主張を展開。
沖縄基地問題リンク集
http://kaleido.smn.co.jp/2010/anpo/link/index.html



横田基地は主に空輸部隊。三沢基地や厚木基地と違い、ものものしい戦闘機はいない。でも有事には何がどうなるかわからない。現に湾岸戦争時はかなりの離発着があったようだ。朝鮮戦争、ベトナム戦争時も出撃拠点となった。ハワイからでは遠すぎるアジア地区をカバーするのが大きな任務で、要はここがアメリカから見ると地球の裏側をカバーするのである。以下所属機ほか。
横田基地
所属航空機
機種 愛称 機数
C-130 ハーキュリーズ 13
C-9A ナイチンゲール
C-21 リアジェット
UH-1N ヒューイ

【C−5 ギャラクシー】
ジャンボ機並みの大きさ
この日も飛来したところ
飛来する
主な中継機
機種 愛称
C-5 ギャラクシー
C-141 スターリフター
C-17 グローブマスター
KC-10 エクステンガー
KC-135 スツラトタンカー
もともと横田基地は旧日本陸軍の立川飛行場付属飛行場であったが、第二次大戦後占領され現在に至る。在日米軍、第5空軍、第374空輸団司令部がある。第374空輸団は極東における唯一の空輸団として空輸支援を行っている。

基地内には学校はもちろん体育館やショッピングセンター、ゴルフ場、野球場まであり、大学の分校もある。(日本人の聴講も可能だそうだ) AFN(米軍放送:以前の極東放送FEN)というラジオ局もあり、テレビは衛星通信で米国内とほぼ同じものが見られるそうである。終戦直後などには結構こういう軍事施設が日本文化に与えた影響は大きかったのだろうと思いつつ、国際化の進む最近ではそういう価値は小さい。リンクでも紹介したが、そこで働く日本人従業員にとっても異文化とふれあう良い場所として評価している人も多いようである。それはそれで価値があると思うが、別の方法で達成できることであると思う。

【C−9Aの操縦席】

C−9Aはダグラス社製の民間機DC−10をベースに作られている。
【C−9Aメンテナンス中】

医療機である。酸素、窒素ボンベ等が積み込まれ、気圧調整などを行う。傷病兵の運搬のため。
【C−9Aの翼からむこうに格納庫】

遠くに並ぶのはほかの飛行機の格納庫である。



ところで・・・
横田基地以外に、いったい、いくつ日本に基地があるのか。基地と施設の区別がわかりにくいのだが、基地という固まりではおおまかに以下の通り。細かく言うと、弾薬庫や通信施設など様々な施設が全国に105カ所(1991年)にもなる。すごく多くてびっくりですね。私の住んでる神奈川県はどうも沖縄に次いで米軍施設が多いようである。

【参考文献】
・基地の読み方歩き方/「いのくら」基地部会編(明石書店)
・これが沖縄の米軍だ/石川真生ほか(高文研)
・総点検在日米軍基地/日本共産党中央委員会出版局

いわゆる基地というものを列記するが、100カ所以上あるほとんどの施設が基地周辺にあり、自衛隊の基地もほぼ重なる、もしくは補う形となる。

北から・・
1)三沢基地
北の前線、F−16配備
2)横田基地
3)キャンプ座間
4)厚木基地
海軍航空隊の拠点
5)横須賀基地
第7艦隊の出撃拠点
航空母艦の母港
6)キャンプ富士
7)岩国基地
海兵航空隊の拠点
8)佐世保基地
第7艦隊拠点
9)沖縄基地・・下記参照
【国内の米軍基地】〜STARS AND STRIPESより〜
とにかく沖縄は多い。
全国の75%(面積)の
基地が集中している。

沖縄県土の10%占め、
本島では19.5%にもなる。

米世界戦略のキーストーンと言われ、特に朝鮮・ベトナム戦争では重要な補給基地であった。

【沖縄本島の米軍基地施設】〜沖縄県HPより〜



重ねて言うが、基地に行ったとき、もう少し「日本」というものがそこに感じられればこんなリポートは書いてないと思う。米軍はそこを占領し、自分たちだけの生活を守りながら、植民地のようにそこに居座っているように感じたから違和感を覚えたのである。地元にとけ込む努力もしているということだが、こと安全保障にまで米国サイドの一方的な立場を持ち込まれている姿勢の現れでないか。そう感じた。日米地位協定を見ても、決して対等な立場ではなく米国軍人が職務を遂行するため都合の良い形ではないか。

なぜ日本に米軍基地が多いのか?アメリカ国土のハワイの基地があるのに。冷戦時代は終わったのだから、軍備の大義名分は間違いなく薄れつつあるではないのか。日本に基地がこんなに増えてしまった理由は第2時世界大戦に負けて、どさくさにまぎれていいようにやられてしまったのが最大の原因であろう、が、その後も国民性として正面から激突しない弱さが要因であろうし、これは悲しいことだ。存在理由の乏しい基地がもたらす不幸は続くのがこれまた悲しいことである。どこかのHPで載っていたけど「沖縄の少女暴行事件が、もし、立場を逆にしてアメリカで起こったと仮定したら、もっと米国は激しい感情的な国民運動になっているだろう。」と。私もそう思う。とにかく軍事施設なんて百害あって一利もあるのかどうか。

とはいえ、現実的な問題として、今、日本の周りには突然ミサイルを撃ち込んでくる国があるから非武装なんて考えは私は持っていない。それにしても日本にはある程度の自衛力はあるし、米軍基地はなくなってしまうことが理想であると思う。米軍が居なくなると、思いやり予算や土地の強制使用代金などかなりの税金が節約できるはずである。(もうすこし時間をかけて国の予算でも調べてみようと今は思っている)

いわゆる「思いやり予算」、日本人従業員の人件費、米軍駐留のための施設建設費は米軍駐留のための経費である。国防の一環という考えであろうが、日本に来ている米人を横田基地で見ていて、アメリカ人だって「決して日本に来たくて来ているのではないのだろう」と思う。横田基地のある女性と話をしたときも「3年をめどに赴任した」と話していて、どうも単身赴任のようであった。米軍基地があって幸せになっている人なんて一部金銭授受をしている人ぐらいで、日本人もアメリカ人もほとんどが不幸せなのではないだろうか。安保という考えを否定までしないにしても、米国は自国基地だけで十分でないのか。また朝鮮戦争、ベトナム戦争のような大がかりな、そしてきっと不毛な戦争に首を突っ込みたいというのか・・・。なにより日本は利用されているだけでないのか・・。時代の流れとして米軍基地の縮小、さらに撤収が進むことを祈りたい。

ということで私の宿題は以下のように決めた。
@平成12年度予算をきちんと調べる。
A日本に配備されている戦闘機や軍艦にも強くなる。
宿題が終わればまた新たにアップし直します。日々のニュースにも強くなりたいので・・


最後に付け加えであるが、米軍基地側も解放日(オープンデー)などを設けて地元に溶けもうという姿勢を見せている。そんなに簡単になじんでいいのかどうかは別にして、行ってみるのも価値があると思う。
横田基地 042−551−0700 4月 桜祭
横須賀基地 0468−21−1911 8月下旬 フレンドシップデー
4月10日前後 桜祭
キャンプ座間 0462−51−2160 4月 桜祭